村上龍の【55歳からのハローライフ】ご存じでしょうか?
読みだしてすぐに【ナニコレ、私の事?】って思えるほど50代、60代のリアルな生活、悩み、不安が描かれています。
読んでいると途中苦しくなるくらい主人公に感情移入してしまうことも。
短編5話からなっていて
どの主人公も人生の折り返し地点を過ぎて【再出発】を目指しています。
ですが、自分の理想とは違った現実が待ち構えているんです。
老いによる不安、経済的困難、再就職がうまく行かない焦り、定年退職した夫との関係…
様々な悩みと不安を抱えていて、どれも他人事ではないと感じます。
色々な事を経験しながら最後にはやはり新たな人生を歩き出す主人公に、読んでいて前向きな気持ちなれます。
こんな方に読んで欲しい
- 50代を過ぎて自分の居場所が分からない
- なんだか毎日つまらない
- 50代、60代はどんな生活を送っているのだろう
⇧こんな風に思っている方はぜひ【55歳からのハローライフ】おすすめです。
では5話の内容を解説していきます。
この本を手に取ったきっかけ
勘違いしたんです(^^;
ハローライフでは無くてハローワークだと思いました( ;∀;)
本の最後の解説にもまったく同じことが書いてありました。
村上龍は【13歳のハローワーク】が有名過ぎて、【55歳からのハローワーク】だと思い込み何度も素通りして
ある日ハローライフ、しかも小説だと気づいたと…
私は逆で、55歳からの働き方の本だと勘違いしたのがきっかけで読むことに(笑)
昔々、30年ほど前にとても人生に迷ってそんな時に読んで救われたのが村上龍のエッセイ本でした。
今回は50代と言う人生の節目にまた村上龍の本に出合えたことに感謝です。
小説のあらすじ
結婚相談所
主人公:中米志津子 54歳
旦那が定年退職し、再就職に失敗。
依頼、TVに向かってぶつぶつ文句を言うようになった夫に妻から離婚を提示しあっさりと別れる。
その後志津子は派遣会社に登録してスーパーで試食販売をする【マネキン】と言う仕事に就く。
仕事仲間とは気が合い上手くやっている。
ただ心配なのはマネキンの仕事だけでは生活していけない。
もうひとつ、旦那以外の男と性的な事も含めて接したことが無い。
その2つの理由から結婚相談所に登録して夫候補を探し始めます。
その間にも別れた夫からは未練がましいメールが送られてきます。
結婚相談所で紹介された男たちは一癖も二癖もあり、デートの時に信じられない事を(ここでは言えませんが(^^;))
聞いてくる変な奴も…
ですが、結婚相談所主催のパーティ会場で思わぬ出会いが…
結婚相談所のリアルな話と自分と同じ年の中米志津子がどうなるのか?とても気になって一気に読みました。
1話が50~60ページなので読みやすいです。
空を飛ぶ夢をもう一度
主人公:因藤茂雄 54歳
小さな出版社をリストラされる。妻と公立大学に通う息子がいてまだまだお金はかかる。
なかなか良い仕事には就け無いが、工事現場で働いて何とか生活している。
リストラにあってからホームレスを見るとなぜか動悸を覚える。
道路工事の交通誘導員をやっている時に、遠くから自分を見ている不気味な男がいることに気づく。
その男は中学の同級生の福田と言う男だった。
福田が自分の家だと案内した豪邸、だが因藤にはそれが嘘だと言うことがすぐに分かる。
なぜ福田はそんなウソをついたのか、福田は今何をやっているのか…
次第に分かって行くのですが、それが何とも切なくて、読んでいるこっちが動悸を覚えてしまいます。
福田とは関わらないようにしようとする因藤ですが、ある頼み事をされてしまいます。
辛いシーンが多いですが、最後は救われた気持ちになります。
キャンピングカー
主人公:富裕太郎
こちらの主人公は早期退職してお金には余裕があるお父さん
妻と社会人の長男と長女の4人暮らし
退職後は奥さんに密かなサプライズを用意していて、自分は希望ある老後を迎えられると信じています。
サプライズとは退職金でキャンピングカーを買って(すでに予約済み)温泉好きの奥さんと好きな時に旅行に出かける!
そんな事を妻に内緒で考えています。
が、それを家族の前に発表した時に奥さんと娘の反応が悪いんです。
奥さんは絵が得意で文化センターで先生をしていて、そのスケジュールがあるのです。
娘ももちろん母の気持ちを分かっています。母には母のやりたい事があることを。
富裕にとっては予想していない結果でした。
この旦那さんはとても良い人なのだろうけど、違うよな~ってイライラしました。自分の気持ちだけで奥さんのことなど何も分かって無いんだな~独りよがりに腹が立ちます(^^;
この後富裕は娘に勧められて再就職先を探すのですが…
これがなかなか難しいんですよね(^^;
ペットロス
主人公:高巻淑子
高巻淑子は夫の前取引先の専務で、近所に住むイシグロさんの奥さんの事ばかりを褒める夫に嫌気がさしていた。
自分には不愛想だが、イシグロさんの家に招待されると媚びを売るように振る舞う夫。
高巻淑子の楽しみはペットの柴犬ボビーとの散歩。
近所の主婦たちに人気の愛犬家で紳士のヨシダさんと散歩で会えるのを楽しみにしている。
柴犬のボビーには興味の無い夫。
少し前からボビーの様子が気にかかっていた淑子だが、病院にボビーを連れて行くと治らない病気にかかっていることが分かる。
それから淑子は物置代わりの狭い部屋にボビーを入れ(夫は犬の毛が付くのを嫌いベランダで飼う事が条件だったため)
その狭い部屋で寝起きするようになる。
ここまで読んで【なんだこの旦那は"(-""-)"】と怒り心頭だったのですが(笑)
この後旦那の意外な一面が分かるんですね~!!
ペットの死をきっかけに旦那の本音が分かりホットします
トラベルヘルパー
主人公:下総源一 60代
長年トラックドライバーで羽振りが良かったが派手な暮らしをしていたため貯金は無く、今では慎ましく本を読むことを楽しみに暮らしいる。
古本屋で出会った50代の清楚な謎の女性。
思い切って声を掛けるとあっさりとお茶に誘う事に成功。
それから何度か、毎回同じファミレスでデートを重ねるが、女が独身なのかどうかも聞きだすことが出来ないでいる。
何度目かの約束で突然【もう会わない】と女に告げられる。
どうしても納得出来ずに女の家を探して下総は見てしまう…
老いらくの恋にどっきりとしますが、そんな単純な恋愛の話では無いんですよね~
最後に
ついついコーフンして熱く語ってしまいましたが、ほんとに主婦、女の気持ちがリアルに描かれていて面白いです。
この本に出てくる登場人物に起こったことはいつ自分に起こってもおかしくない事ばかりです。
読み終わった後、そんな風に思いました。
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